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組織の中で自分が絶対優位なスキルがない?だったら比較優位を磨こうじゃない。

あらゆる立場のビジネスマンが自分の職能を磨き、結果を残そうと努力をしている。ただ、ふとこういった思いが沸き上がってこないだろうか?

「どれだけ努力したって自分より優秀な人はたくさんいるし、どれだけ頑張ってもその人たちには追いつけそうもないし、なんか努力すること自体が無意味に感じる。」

みたいな。

少なからず、私自身はこういった感情が沸き上がってくることがある。こうなってくると無気力になって体が動かなくなる。そんなときに思い出すのは決まって大学の先生の「比較優位」の話。これを思い出すと自分の比較優位を俯瞰的に探せるようになってプラスの感情に包まれる。力が出る。

ちなみに、この比較優位という言葉、経済学部の方はリカードという名とともに学んだのではないだろうか?

比較優位の原則とは、国同士でなぜ貿易が起こるかを説明したもので、絶対的な優位性ではなく相対的な優位性があれば、国は財を輸出することができることを示したもの。そして、相対的な優位性というのは必ず存在する。
比較優位の詳しい説明は下記のサイトを参照。

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ん?よくわからんんん、、、となりそうなので詳しい話はこの辺にしておいて。

ビジネスで例えて解釈してみよう。

組織の中では、自分より質・量ともに圧倒的に優位性を持っている人が存在することがある。
論理的な思考力も分析力もプレゼン力も対人関係構築力もすべてにおいて自分が勝てる部分がない、、、といった状態である。
先輩が自分より何でもできる状況であればそれが絶対優位を持っているということである。

では、こういった状況の時に自分には価値がないのだろうか?

いや、決してそんなことはない。

絶対優位を持っていなくても比較優位は必ずある。そして、その比較優位に特化することができれば、そうしない場合と比較して組織としてもアウトプットを大幅に向上する。

では、より具体的に見てみよう。

自分より優秀な先輩がいたとしよう。この先輩と自分がそれぞれ3時間(資料作成と営業アポそれぞれに1.5時間ずつ、2人の合計業務時間6時間)、業務をこなした場合のアウトプットの量を表したものである。

資料作成営業アポ
先輩30ページ15件
自分15ページ5件
合計45ページ20
比較優位を意識せずそれぞれが業務を均等にこなした場合

先輩は圧倒的に自分よりも生産性が高く「絶対優位」の状態にある。となると、すべての業務を先輩がこなしたほうがいいのかというと実はそうではない。

わかりやすいように視点を変えてみよう。上記の表を「機会費用」という概念で表すと下記のようになる。

資料作成営業アポ
先輩資料1ページの
作成コスト
アポ1/2
営業アポ1件の
営業コスト
資料2ページ
自分資料1ページの
作成コスト
アポ1/3
営業アポ1件の
営業コスト
資料3ページ
先輩と自分の機会費用の比較

難しいことは置いておく。ここで言いたいのは、、、

先輩は「自分と比較して営業アポをやる際の機会費用(コスト)が小さい」。
自分は「先輩と比較して資料作成をやる際の機会費用(コスト)が小さい」。

つまり、先輩は営業アポ、自分は資料作成をやる方が機会費用が小さいということになる。
この状況を「先輩は営業アポに比較優位を持つ」、「自分は資料作成に比較優位を持つ」と呼ぶ。

ここからがかなり重要なポイントになる。

上記で明らかになったそれぞれが比較優位を持つ業務に先輩も自分も注力すると全体としてアウトプットはどうなるだろうか?それを表したのが下記である。

先輩は1時間を資料作成、2時間を営業アポに使うとしよう。
自分は3時間すべてを資料作成に使うとしよう。
※2人の総業務時間は前述と同じように6時間のまま。

資料作成営業アポ
先輩20ページ30件
自分30ページ0件
合計50ページ30件
それぞれが比較優位をもつ業務に注力した場合

こうすると全体としてのアウトプットの総量は比較優位を考慮しない場合と比較して大幅に増える。

つまり、絶対優位を持たない自分が特定の業務(今回の場合は資料作成)に特化することで先輩よりもアウトプットの量は増加し、組織全体のアウトプットの総量も増えるという状態になる。

長くなったが、ここで今回の記事のタイトルを振り返ろう。

組織の中で自分が絶対優位なスキルがない?だったら比較優位を磨こうじゃない。

そうまさしくこの通りなのである。自分が秀でている要素がなかったとしても組織で動く限り(比較対象があり相対的な状態である限り)、必ず自分の比較優位は存在する。

組織の中では、自分より質・量ともに圧倒的に優位性を持っている人が存在することはざらにある。
だからと言って、自分は価値がないというわけでは一切ないのだ。

「自分の比較優位を見つけ出しそれを磨く努力」ができるか?

これさえ忘れなければ、組織に不必要な人なんていないのである。
誰もが組織のアウトプットを高めるために輝けるし、必要だ。

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